保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業の実施についてⅡ

今日は、粕屋町の税理士 茅野(カヤノ)です。今回は前回の投稿に引き続き、保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業についてお伝えしていきます。実務的に何をやるのか具体的に出てきていますね。ざっくり説明すると、保育士等への令和4年2月からの給与アップ(9,000円程度)を補助金としてその働く施設へ給付しますよというもの。今回はその補助金の算定方法を載せておきます。

交付額の算定方法

単価(補助基準額)×令和3年度年齢別平均利用児童数(見込)×事業実施月数で交付金の金額は算定されます。併せて、国家公務員給与改定対応部分の補助金もこちらは令和4年度よりもらえるようです。こちらもの補助金の計算方法は同じ内容となっております。人事院勧告の影響を受けて、施設にくる公定価格のうち処遇改善加算部分が下がっても、保育士さんたちの給与は下げるなという意味合いなのでしょうか。

単価表はこちら→https://kayanokaikei.com/wp-content/uploads/2022/01/rinji_koufu.pdf
※内閣府HP参照

②具体例

上記の例に具体的な数字を入れて実際どんな感じの数字になるのかみていきたいと思います。

保育所 利用定員60名 その他の地域
令和3年度の平均児童数 4歳以上30名 3歳15名 1.2歳10名 0歳5名 前提条件は以上です。

単価表から、賃金改善部分→4歳以上1,910円 3歳2,340円 1.2歳3,730円 0歳6,010円

よって
30名×1,910円+15名×2,340円+10名×3,730円+5名×6,010円=159,750円となります。
これが1月あたりその施設に入ってくる補助金の額となります。

給与としての配分方法

月額の補助金の額が出たので、次はその金額を保育士さんたちへどのように配分するかということになります。先ほどの159,750円には施設負担の給与の法定福利費が含まれておりますので、その負担分を抜いた金額を分配するというのが、施設にとって手出しが少なくなる方法です。 159,750円 そのまま分配すると法定福利費は施設の手出しとなってしまいます。それでもかまわないのであればそのまま分配してもらっても大丈夫です。

では、法定福利費を引いたところでの金額を計算するにはどうすればよいのか。

159,750円 ÷(1+令和2年度施設負担法定福利費÷令和2年度賃金総額)=
という式になるかと思います。

令和2年度の施設負担法定福利費→令和2年度計算書類の第一号四様式の人件費支出のうち退職給付支出と法定福利費支出を合計したもの。

令和2年度賃金総額→ 第一号四様式 人件費支出の金額

※今回は社会福祉法人会計基準で示しております。

仮に上記の法定福利の率が0.13になるとすれば、 159,750 ÷(1+0.13)=141,371円以上を保育士さんたちへ分配すれば補助金の額を超えるという計算になります。

なかなか頭の痛くなる問題です…直接先生方に9,000円配ればいいのに…とつい思ってしまいます。結果、行政、施設と膨大な事務負担が…